興味がある
『漢方』
を学習していきます
今回は、前回扱った気を補う薬、補気剤の『六君子湯』に続き
『香砂(こうしゃ)六君子湯』をみていきます
目次
漢方薬を学ぶ②/補益剤-補気剤/香砂六君子湯
補益剤とは?
『虚証』を治療する生薬を調合したもの
虚証とは?
『気』/今回はこれに注目
『血』
『津液/しんえき』:人体に必要な物質が含まれている正常な水液
『精』
が不足している体の状態
この状態になると、人の免疫力が低下し病気になる
実証とは?
虚証とは、反対に
免疫力は正常なのに、邪気がさかんで病気になる
六君子湯が調合されるひとの状態(水分が貯まる状態)は、
実証にあたる
補益剤の種類
- 補気剤:字の通り『気』を補う調合
/今回はこれに注目 - 補血剤
- 帰結双補剤
- 補陰剤
- 気陰相補剤
- 補陽剤
気って何?
『気』自体は、科学的根拠はないとされる
だけど、この補気剤で病気がよくなることがあるのはわかっている
六君子湯は、香砂六君子湯と何が違う?
前回学んだ『六君子湯』に
『香砂』を足したもの
六君子湯の理気作用を強めたもの
香砂とは?
『香』の意味は?
木香(もっこう)の生薬の意味
『砂』の意味は?
縮砂(しゅくしゃ)の生薬の意味
復習とポイント
四君子湯の働きを復習:胃腸の機能を高める+『気』を補う
六君子湯の働き:四君子湯の働き+『水分を取り除くこと』
香砂六君子湯の働き:六君子湯の働き+『理気作用』+『温中作用』
※理気とは、気の流れをよくすること
※温中とは、脾臓、胃を温めること
香砂六君子湯はどんな人に効果があるの?
基本的には『六君子湯』が合う人の症状とにている
- 元気がなく疲れやすい
- 手足がだるい
- 気力にかける
- 声に力がなく、口数がすくない
- 顔色が白い
- 唇、爪の色が白っぽい
- 舌の色も白っぽい
- 舌苔も薄く白い
- 舌は大きく、腫れぼったい
- 息切れしやすい
- 体重が増加しにくい
の状態にある人に効果があると言われる
これらは、
『胃』『脾臓』
の状態がよくないためにおこる
胃の機能が衰えているため、消化の不良がおこっている
その栄養が、脾臓に吸収されないため、
『気』『血』をつくりだせない
『気』『血』のめぐりがわるくなっているので
栄養がまわりにくく免疫の低下につながっている
☆ここから六君子湯が合うひとの症状
消化不良、栄養の運搬がうまく行かないと、食べ物の残りカスがたまる
さらに水分の代謝が悪くなり、体に水分がとどまって心身に影響がでる
食べ物の残りカス、水分滞留で以下の症状がでやすい
- 食欲不振
- お腹がはる
- 消化不良
- 胃もたれ
- みぞおちの使え
- 吐き気
- 嘔吐
- 呑酸:胃液が口内に逆流すること
- 食べ物の味が感じられない
- 軟便、下痢
- 多量の白い痰:白っぽい舌+白いベトベトした舌苔
- 舌が大きく、腫れぼったい、歯の跡が付く場合が多い
- 咳
- 胸の苦しさ
- めまい
- 動悸
- むくみ
- 手足が重だるい
中医学では、水分が滞留している状態は、実証にあたる
六君子湯は、虚証+実証の両方がある状態の人に向く
虚証ベース+on実証=本虚標実(ほんきょひょうじつ)という
今回の香砂六君子湯の人の状態も、『本虚標実』である
とくに、
- 胃の痛みが強い
- 気分が落ち込んでいる
場合に用いる
香砂六君子湯の配合生薬は?
四君子湯のベースは以下の4つでした
- 人参
気を補う役割
主役(君薬)の生薬 - 白朮
人参の補気を手伝う
主役の補佐(臣薬)の生薬 - 茯苓
白朮と相性がいい
補佐の補佐(佐薬)の生薬
痰の生成を抑える、下痢止めとなる - 甘草
全体の薬の調和をする
六君子湯の生薬はプラスで以下4種類を追加
- 半夏
余分な水分の除去、胃気の逆上を緩和、咳を鎮める
主役(君薬)の生薬 - 陳皮
痰の除去
主役の補佐(臣薬)の生薬 - 生姜(ショウキョウ)
脾臓、胃の機能を整える
半夏の毒性:吐き気、咽頭の刺激、失声、嗄声をおさえる - 大棗
脾臓、胃の機能を整える
ここから『香砂』を加えた調合
- 木香
気の流れをよくする、腸の蠕動運動を促して消化吸収を助ける、整腸作用でガスの腸内滞留、腹痛を緩和する - 縮砂
脾臓、胃を温めることで気の流れを良くする
吐き気を抑え、胃を健康に保つ
木香と同じように、腸の動きをよくし、お腹が膨れた状態をよくする
この2つの生薬をあわせることで、気の滞りでおこる痛みを抑え、胃を健康に保つ働きを強化できる
※木香の代わりになるもの
藿香(かっこう)、香附子(こうぶし)が使われることがある
どんな症状を訴える人に、香砂六君子湯を調合する?
ケース1)
訴え)胃が膨れた感じと痛み、吐き気がある
胃潰瘍があって、ストレスがかかると悪化しやすい人に
1年かけて服用後に改善したケースあり
ケース2)
訴え)眠れず、憂鬱、不安、寝付きも悪い
確認する所)
- 胃:つかえがあって、すっきりしない、食欲なし
- 体:だるさあり
抗うつ剤は無効の人に
3ヶ月ほどで改善するケースあり
以上、補気剤の一つ『香砂六君子湯』についてでした
次回は『参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)』を学んでいきます
ではまた!
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