興味がある漢方薬を学んでいます
今回は和解剤『柴胡桂枝乾姜湯』です
漢方にご興味がある方のご参考になればと思います
目次
漢方を学ぶ㉛和解剤/柴胡桂枝乾姜湯ってどんな調合?
健康の状態とは?
漢方では体内のバランスがくずれると健康をくずすとされる
そこで、バランスをとる処方が和解剤
中医学でいう病気とは?
虚証と実証の2つの場合がある
虚証:人の免疫力、抵抗力(正気)の低下による病気
実証:正気は弱っていないが邪気が盛んになることでおこる病気
正気とは?
気、血、津液のこと
これらは病邪から身を守り健康を維持するのに必要とされる物質、機能
証とはなにか?
患者の病状や体質を表す
漢方は証にしたがって処方をきめる
同じ病気でも、証が違えば処方はかわる
柴胡桂枝乾姜湯の証は?
4つの証を治療する
①肝鬱化火(かんうつかひ)の証
自律神経系が興奮して熱証があらわれる状態
症状:いらいら、怒りっぽい、憂うつ感、口が苦いなど
原因:精神的なストレスが肝に影響
②津虚(しんきょ)の証
津液不足の状態
津液:生理機能に必要な水液
津虚証になると乾燥の症状がでる
・口渇
・尿量減少
熱を冷ます力が弱まって、相対的に熱の勢いがます(虚熱)と
・熱感
・寝汗
・動機
・腹痛
・胸部のざわざわとした落ち着かない不安感
などがでる
③胃寒の証
胃に寒邪が侵襲することでおこる
冷えて痛みが出た状態が「胃寒」証
・上腹部の痛み
・膨満感
・腹部の冷え
④半表半裏の証
半表半裏とは?
感染症などの途中でみられる証のこと
表証でもなく裏証でもない証をいう
表証とは?
悪寒、頭痛、関節痛などの症状をさす
病邪が体に入りかけている初期の段階
裏証とは?
高熱、激しい口渇、発汗などの症状をさす
病邪が完全に体内に侵入して臓器の機能に障害がおきている状態
半表半裏の特徴は?
悪寒と熱感を繰り返す症状
+
胸脇部の張った痛み
・発熱
・口が苦い
・悪心
・嘔吐
・咳
・喉の乾き
・食欲不振
・舌:白い苔
※小柴胡湯との区別
小柴胡湯は、半表半裏の証で使えた
もし、以下の状態であれば小柴胡湯は使えない
・悪心なし
・嘔吐なし
・口渇
・尿の量、回数が減っている
この場合は
柴胡桂枝乾姜湯が適している
どんな調合?
計7種の生薬
小柴胡湯との違い
・半夏(燥性)→かろこん(滋潤性)
・生姜→乾姜(温性が増す)
・大棗→牡蛎(鎮静作用がより強い)
・人参(補気)→桂枝(のぼせを鎮める)
君薬:
1,柴胡
消炎・解熱作用
気の流れをよくし、いらいら、憂うつ感を緩和する
鎮静・鎮痙・鎮痛作用
抗菌・抗ウイルス作用
臣薬:
2,桂枝
経脈を温めて血をめぐらせる
気の上逆を鎮める
3,乾姜(かんきょう)
体の冷えをのぞく
人体を奥から温める
特に胃を温め、寒邪をちらして痛みを和らげる
佐薬:
4,かろこん
津液をふやして、脱水状態を緩和し、熱をさます
5,黄芩
苦寒性
余分な熱をのぞく
抗菌・抗ウイルス作用
6,牡蛎
精神を安定させて鎮静する
津液の喪失をふせぐ
汗をとめる
口渇、尿の量、回数が減っている状態に有効
使薬:
7,甘草(炙甘草)
各生薬の調和をする
胃腸の機能をまもる
急迫症状を緩和
血の生成を援助する
消化吸収機能を高める
どんな人に調合する?
ケース1)
子供のころから、緊張してどもることがあった
一人暮らしを初めてどもりがひどくなりこまっている
緊張すると、頭から汗をかく
神経質で疲れやすい
証:肝鬱化火、津虚
服用2ヶ月後、どもる頻度が減った
5ヶ月後には、緊張してもどもったり
頭から汗をかいたりすることがほとんどなくなった
ケース2)
48歳・女性)
更年期のせいか、何もやる気がでない
夜になると動悸がして眠れない(動悸は病院では異常なし)
ここ1年ほど、月経が遅れるようになってきた
血色が優れない
口が渇く
足が冷える
証:肝鬱下火、津虚
服用1ヶ月ほどで、動悸が軽くなった
半年後には、もとのように元気になった
さいごに
今回は、『柴胡桂枝乾姜湯』を学びました
次回は、『柴朴湯』を学んでいきます
ではまた!
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