興味がある漢方薬を学んでいます
今回は和解剤『人参湯(理中丸)』です
漢方にご興味がある方のご参考になればと思います
目次
漢方を学ぶ㊱温裏きょ寒剤/人参湯(理中丸)ってどんな調合?
理中とは?
中焦を整える(理する)こと
中焦とは?
人体を大きく3つにわけたうちのひとつ
三焦の概念
・上焦:胸から上
・中焦:胃の中央
・下焦:膀胱より上の部分
人参湯が治療する証は?
脾胃虚寒(中焦虚弱)の証
脾胃虚寒(中焦虚弱)とは?
中焦が虚弱であるために、寒邪に侵されやすい状態
また、
エネルギー代謝により人体を温めて体温を維持する作用が低下した状態
寒邪の種類
表寒と裏寒がある
・表寒:外界から人体に侵入してきて体表部に存在するもの
・裏寒:体内(裏)に深く侵入してきて臓腑、経絡にまでいたっているもの
人参等は、裏寒を治療する
脾胃虚寒の症状は?
・胃の膨満感
・みぞおち周辺のつかえ
・吐き気
・軟便
・下痢
・食欲不振
・味覚の低下(口渇なし)
・胃痛(温めたり、手で押さえると軽減する)
・唾液、よだれが多い
・無気力
・四肢の冷え、寒がり
・尿の色は薄く、量は多い
・吐血
・血便
・疲労倦怠感
・息切れ
・声に力がない
・血色が優れない
・生気がない
・舌:色は淡白で、白い舌苔がつく
温裏祠寒剤の種類について
・人参湯
・呉茱萸湯
・小建中湯
・大建中湯
の4種類がある
どんな調合?
計4種の生薬
君薬:
1,乾姜
体内の冷え(裏寒)をのぞいて、人体の奥(中焦)から温める
裏寒をちらして痛みを和らげる
気の上逆を降ろして嘔吐をとめる
胃腸の血行を改善し、消化液の分泌促進
腹部の冷えの緩和
食欲増進
臣薬
2,人参
消化吸収機能をたかめ、気をおぎなう
肺と心の気を補う
けいれん性の痛みの緩和
吐き気、嘔吐をおさえる
佐薬
3,白朮
消化吸収機能をたかめる
気をおぎなう
体内の余分な水液をのぞく(むくみ改善)
使薬
4,甘草(炙甘草を使用)
脾胃の機能を高めて気を補う
→血を生じて、肝血を生成を補う
気血の調和で痙攣をゆるめ、痛みを止める
諸薬の薬性の調和
胸のつかえを除く
どんな人に調合する?
ケース1)
若い頃から軟便で、下痢しやすい
食後すぐに便意があり、1日3回は排便する
腹痛:なし
疲れやすく、足が冷える
証:脾胃虚寒証
服用2ヶ月後、下痢の回数が減った
5ヶ月後には、下痢はほとんどしなくなり、便がバナナ状になった
ケース2)
胃のつかえ感があって、あまり食欲がない
たくさんは食べられない
少し食べると胃が張って、吐き気がする
お腹が冷えると、しくしく痛む
証:脾胃虚寒証
服用4ヶ月後、胃のつかえ感が減り、前より食べられるようになってきた
8ヶ月後、つかえ感がなくなって、体重が増え、元気になった
さいごに
今回は、『人参湯』を学びました
次回は、『呉茱萸湯』を学んでいきます
ではまた!
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