興味がある
『漢方』
を学習していきます
今回は、前回扱った気を補う薬、補気剤の
『香砂(こうしゃ)六君子湯』に続き
『参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)』
を学んでいきます
漢方薬に興味がある方のご参考になればと思います
目次
漢方薬を学ぶ④/補益剤-補気剤/参苓白朮散ってどんな調合?
補益剤とは?
『虚証』を治療する生薬を調合したもの
虚証とは?
『気』/今回はこれに注目
『血』
『津液/しんえき』:人体に必要な物質が含まれている正常な水液
『精』
が不足している体の状態
この状態になると、人の免疫力が低下し病気になる
この状態を虚証という
実証とは?
虚証とは、反対に
免疫力は正常なのに、邪気がさかんで病気になる状態を実証という
補益剤の種類
- 補気剤:字の通り『気』を補う調合
/今回はこれに注目 - 補血剤
- 帰結双補剤
- 補陰剤
- 気陰相補剤
- 補陽剤
気って何?
『気』自体は、科学的根拠はないとされる
だけど、この補気剤で病気がよくなることがあるのはわかっている
四君子湯、六君子湯、参苓白朮散の違いは?
・四君子湯の働き:
胃腸の機能を高める+『気』を補う
・六君子湯の働き:
四君子湯の働き+『主に半夏の作用で水分を取り除くこと』
→吐き気、胃の症状が強い場合に調合
・参苓白朮散の働き:
四君子湯の働き+『主に白朮の作用で多すぎる水分を取り除く』+『肺の機能を補う』
→下痢、軟便が強い場合に調合
参苓白朮散はどんな人に効果があるの?
- 元気がなく疲れやすい
- 手足がだるい
- 気力にかける
- 声に力がなく、口数がすくない
- 顔色が白い/くすんだ黄色になることもある
- 唇、爪の色が白っぽい
- 舌の色も白っぽい
- 舌苔も薄く白い
- 舌は大きく、腫れぼったい
- 息切れしやすい
- 体重が増えにくい
これらは、
『胃』『脾臓』
の状態がよくないためにおこる
胃の機能が衰えているため、消化の不良がおこっている
その栄養が、脾臓に吸収されないため、
『気』『血』をつくりだせない
『気』『血』のめぐりがわるくなっているので
栄養がまわりにくく免疫の低下につながっている
消化不良、栄養の運搬がうまく行かないと、食べ物の残りカスがたまる
さらに水分の代謝が悪くなり、体に水分がとどまって心身に影響がでる
食べ物の残りカス、水分滞留で以下の症状がでやすい
- 食欲不振
- お腹がはる
- 消化不良
- 胃もたれ
- みぞおちの使え
- 吐き気
- 嘔吐
- 呑酸:胃液が口内に逆流すること
- 食べ物の味が感じられない
- 軟便、下痢
- 多量の白い痰:白っぽい舌+白いベトベトした舌苔
- 舌が大きく、腫れぼったい、歯の跡が付く場合が多い
- 手足が重だるい
特に消化不良によって、体に必要な栄養を運べない状態の人
下痢、軟便が頻繁に起こる人に向いている
参苓白朮散の配合生薬は?
四君子湯のベースは『人参、白朮、茯苓、人参』でした
参苓白朮散も、四君子湯の生薬ベースに
追加6種加え計10種配合したものになる
主役(君薬)の生薬は3種…本処方の名前の由来になっている
- 人参
気を補う役割 - 白朮
人参の補気を手伝う - 茯苓
白朮と相性がいい
痰の生成を抑える、下痢止めとなる
主役の補佐(臣薬)の生薬は4種
- 山薬(=山芋と同じ)
人参同様に脾臓、胃の機能を高める、気を補う - 蓮肉(れんにく)(=蓮の実と同じ)
胃の機能を高める、多すぎる水分を取り除く、下痢止めとなる - 白扁豆(はくへんず)(=藤豆)
白朮、茯苓を助ける
胃の機能を高める、多すぎる水分を取り除く - 薏苡仁(よくいにん)(=はと麦)
白朮、茯苓を助ける
体内の水分の滞りをよくする
補佐の補佐(佐薬)の生薬は2種
- 縮砂
脾臓の機能を活発にして、気の流れを滑らかにする - 桔梗
肺の気のめぐらせて、正常な水液(津液)の流れをよくする
下痢に効果あり
佐薬の補佐(使薬)の生薬は1種
- 甘草
全体の薬の調和をする
どんな症状を訴える人に、参苓白朮散を調合する?
ケース1)
訴え)手足がほてる。唇の乾燥がきになる
確認するところ)
便:泥状、ときに水様便
腹痛:なし
2ヶ月ほどの服用で、便の形がよくなり始め、半年ほどで健康な便がでるようになったケースあり
ケース2)
訴え)慢性的な下痢で、1日に何度もトイレにいく
確認する所)
- 胃:食欲なし
- 体:だるさあり
- 舌:紅く乾燥している
4ヶ月の服用で症状がよくなったケースあり
体の中で正常な水分が作られないと、相対的に熱がたまりやすくなる
このことで、体にほてり、乾燥の症状がでる
以上、補気剤の一つ『参苓白朮散』についてでした
次回は『補中益気湯』を学んでいきます
ではまた!
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