興味がある漢方薬を学んでいます
今回は『辛夷清肺湯』です
漢方にご興味がある方のご参考になればと思います
目次
漢方を学ぶ・51/清熱剤/清熱解毒/辛夷清肺湯ってどんな調合?
メインの役割は?
熱感をともなう鼻詰まりなどを治療する処方
主薬は、辛夷
清肺とは?
肺を清らかにすること
鼻、咽喉、気管支は五臓の肺に含まれる
各炎症、化膿を治療する
肺の役割は?
呼吸によって必要なもの(O2)、不要なもの(CO2)の空気交換をしている
漢方では、気を司るともいわれる
他には
・人体に必要な「気・津液」を身体の隅々に散布するはたらき
・呼吸を整えて津液を下方に推し進めるはたらき
があるとされる
肺にまつわる言葉ついて
肺の機能=「肺気」
肺を滋潤して栄養をあたえる陰液=「肺陰」
という
肺気が熱邪により阻害され、機能が低下している状態=「肺熱」
肺熱になると、熱感、炎症などの熱証がでやすい
とくに鼻に症状がでて、鼻が詰まることがある(=鼻渕/ビエン)
肺陰が不足すると、「肺陰虚」証となる
要因は?
・炎症による津液の消耗
・慢性疾患、加齢にともなう陰液の減少
・栄養状態の失調
などがある
これにより
気道、肺に炎症
→
炎症性の脱水、栄養不要状態
→
気道粘膜の萎縮がおこる
どんな症状がでるの?
・咳そう
・ねんちょうな黄色い痰
・後鼻漏
・呼吸促迫
・口渇
・喉の痛み
・舌:紅色、ときに乾燥、黄色い舌苔
どんな調合?
計9種の生薬
君薬:
1,辛夷
辛温性により肺をあたためる
風寒邪を発散する
鼻詰まりを開通する
頭痛、歯痛を治し、膿性の鼻汁をへらす
臣薬
2,黄芩
寒性
肺熱を冷ます
炎症、化膿を鎮める
湿熱を除去する
上焦の湿熱を清する力が強い
腸の熱ものぞく
3,サンシシ
苦寒性
熱邪を除去する
熱邪の勢いが盛んになって生じる熱証を冷ます
気や津液の通りをよくする
湿熱をへらす
自然な排尿をうながす
利胆作用あり
4,知母
苦寒性
熱をのぞく
熱邪による陰液の消耗をふせぐ
腎を潤す
神経系の興奮をしずめる
血糖をさげる
5,石膏
甘辛大寒性
熱を冷まして、津液をつくり滋潤する
口渇をいやす
胸部のざわざわとした落ち着かない不安感を和らげる
利尿作用する
6,百合
甘苦微寒性
肺を潤して咳を鎮める
精神安定
鎮静作用あり
滋養強壮作用あり
熱邪による陰液の消耗を防ぐ
7,麦門冬
甘微苦微寒性
津液をつくり、乾燥を潤す
咳をとめる
血もおぎなう
強心作用あり
心の煩わしさを解消する
滋養強壮作用あり
熱邪による陰液の消耗を防ぐ
8,びわ葉
苦涼性
肺熱をさます
痰をきれやすくして鎮咳する
胃熱をさます
嘔吐などの胃の苦悶感を和らげる
使薬
9,升麻
甘苦微寒性
発疹をうながして、毒素をのぞく
内臓の下垂を治療する
他薬が身体の上部で働くようにする
熱をのぞく
顔面の炎症、頭痛に使われる
どんな人に調合する?
ケース1)
蓄膿症です
鼻水が喉に流れてくるのが不快です
長年の副鼻腔炎
頭重感もあり
・肺熱鼻渕
服用2ヶ月くらいから少しずつ鼻の通りがよくなってきた
9ヶ月後には後鼻漏がなくなり、頭重感がきえて頭が爽快になったケースあり
ケース2)
(80歳の女性)
においがわからなくなった
食べ物が美味しく感じられない
加齢により味覚障害になった
鼻がよく詰まる
口や唇が乾燥する
・肺熱、肺陰虚
服用6ヶ月でにおいを感じられるようになった
8ヶ月後に食べ物の味がよくわかるようになった
さいごに
今回は、『辛夷清肺湯』を学びました
次回は、『防風通聖散』を学んでいきます
最後まで見ていただきありがとうございました
ではまた!
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